保険の外交をしていた彼女は四十八歳。
十年前に離婚し、女の子を引き取って育てていた。
小柄なタイプで贅肉もなく笑顔の可愛い女性だった。
その彼女とは十年前に彼女が勧めてくれた養老保険に加入してから、時々ホテルのレストランで昼食をしたり、ある時は会社に「胡蝶蘭」を持ってきて飾ってくれたりもした。
保険外交で出入りする彼女に心を惹かれて既に十年
密かに慕いもしたが不思議に彼女を独占してたにしようと云う気は起こらなかった。
が、
「下心がなかった」
といえば嘘になる。
自分の方に気を向かせようと思った事は事実だ。
そんな時、彼女の生命保険会社が倒産するという噂が拡がった。
その噂に惑わされ、預けた養老保険を解約することにし、師走の日曜日に彼女を呼び出し、彼女の家の近くのスーパー駐車場で待ち合わせをした。
車の中で彼女が来るのを見つめていると、彼女は約束の十一時に姿を見せた。
彼女を車に乗せ、レストラン「かだん」に車を走らせる
レストランに入ると入り口に近い席に案内され、一時間半、たわいもない話題の内にデザートが出されて食事が終わった。
一階の駐車場に降りるとそこは薄暗かった。
助手席に座わった彼女の横顔は可愛いかったが、男の欲情はそれほど萌えてはいなかった。
しかし保険を解約することで彼女との関係も失われていく
今日が彼女と会う最後の機会だ…と心に閃いたその瞬間から、彼女をものにしたいと急に男の欲情が走った。
さりげなく助手席の彼女の太腿にそっと手を載せる。
彼女はジットして素知らぬ振りをしていた。互いに沈黙が続く。
彼女も、日曜日なのに呼び出されて食事に誘われたことは、それなりに男の下心があってのことだと思っていたことだろうし、それを心密かに期待していたのかも知れない。
そっと肩を抱き寄せると、彼女は素直にもたれてきて身を預けてくれた。
軽い口づけをしようとすると、小さな声で「ダメッ…」と遠慮がちに拒否の反応を示した。
その一言で、強引なキスを避け、寄りかかったからだを元に戻した。
ブラウスの上からそっと胸に触れる。
触れられたその手には拒否はしなかった。
余り大きな乳房ではなかった。