史織が妊娠したらしいと聞いたので、彼女との思い出を書く。
自分は某複合施設に勤めていて、史織はそこの総合受付にいた。
色白でたれ目、おっとしたお嬢様という感じだった。
その年の四月に勤務を始めて、半年以上はこれといって接触があるわけではなかった。
朝に挨拶を交わす程度で、必要があれば来客の案内を頼むくらい。
何人かいる受付嬢の中でも、特に目立つ存在ではなかった。
ことが動いたのは年末近くなってから。
退勤して帰ろうと思ったら、従業員の通用口に史織がいて、たまたま帰るときに一緒になった。
「途中まで一緒に帰ろうか~」
軽く誘ってみたら、意外にも喜んでくれて、受付の愚痴やらを聞きながら歩いた。
俺「ところで史織ちゃんは彼氏いるの?」
史織「あ、はい~、います・・・」
別に狙ってたわけでもないけど、チッ、なんだよと正直思った。
史織「でも最近、ちょっと微妙なんですよね~」